2009年9月30日水曜日

第3回 Oracleインストールの前準備

    前回までの作業でSolarisサーバーは構築され、クライアントからtelnetで接続されるのを待っている状態である。今回は作業の場所をクライアントに移し、Oracleをインストールする前の準備すべきこと、そして各種設定について記述する。

    なお、作業をクライアントとしたが、Solarisサーバーのマスターコンソール上でも出来るため、必ずしもそうとは限らないので適宜選択されたい。本稿ではクライアントとして進める、これ以降はモニターが一台、かつ接続ポートが1つの場合はそれをクライアント側につなぎ変える。

    クライアントの要件は下記のとおりであり、ネットワークに繋がっている、ごく普通のWindows PCであれば必要要件を満たしている。

    • Solarisサーバーと物理的にネットワークで繋がっていること。
    • telnet、ftpが動くこと。
    • Webページをブラウザで表示できること。

  1. Oracle Database 10g Release 2のダウンロード


  2. 米国Oracle社のサイト(http://www.oracle.com)に接続して、Oracle データベースのダウンロードのページに進む。
    現在のURLは下記のとおりである。
    http://www.oracle.com/t/software/products/database/oracle10g/htdocs/10202solx86soft.html

    あるいはURLは頻繁に変わるためリンク切れの場合は、下記の文言によって検索をかける。
    Oracle Database 10g Release 2 (10.2.0.2) for Solaris Operating System (x86)

    OTN(Oracle Technology Network)にユーザー登録をしていない場合は、ダウンロードを始める前に登録して(登録は無料)、次のアーカイブをダウンロードする。
    10202_database_solx86.zip (681,090,961 bytes) (cksum - 1350902623)

    Screen   66


    チェックサムはSolarisサーバーにアーカイブをコピーして次のコマンドで算出して、左の数値を照合する。

    # cksum 10202_database_solx86.zip
    1350902623  681090961    10202_database_solx86.zip

  3. クライアントソフトのダウンロード


  4. クライアント側からtelnetプロトコルによってSolarisサーバー上でコマンドを実行したり、FTPプロトコルでファイルを転送するソフトをダウンロードして、インストールする。これらはコマンドプロンプト(通称DOS窓)からtelentとタイプすればWindowsに元々バンドルされているプログラムを使用できるが、EUCの表示ができず、使い勝手が悪いので本稿ではTera Term、FFFTPを使用する、なお両ソフトについては、ビジュアルなインターフェースを持つ定番ソフトであるため説明は割愛する。
    ただし、一点だけよく陥りやすい間違いを付け加えると、テキストファイルの改行コードはWindows(改行コード CR+LF)であり、UNIX (改行コード LF)である。Windowsで修正したテキストをバイナリモードで転送してしまうとUNIXでは改行と見なさない「CR」が行末に紛れ込み、スクリプトが実行できない、定義ファイルが読み込めないなどの問題が発生する。テキストはアスキーモードで「CR」を取り除いて転送する。

  5. telnetでSolarisサーバーに接続する


  6. 前回で控えておいたIPアドレスで接続して、rootでログインする。パスワードもまた前回で指定したものである。以下の作業はすべてrootユーザーで行う。
    Screen   67


  7. rootでftp接続を可能にする


  8. ftpuserは、FTP サーバーへのログインするユーザーのネガティブなリストである。つまりここにあるユーザーのログインを拒絶される。リスト上のrootをコメントアウトして、rootユーザーでのログインを許可する。
    次のタイプをしてftpusersファイルのオリジナルのコピーを取り、viでrootの行頭に#を挿入して保存する。

    # cp -p /etc/ftpd/ftpusers /etc/ftpd/ftpusers.org
    # vi /etc/ftpd/ftpusers

    rootの行頭に#を挿入して保存する。
    root

    #root

  9. ホスト名を設定する


  10. ここまでの処理では、ホスト名を設定していない。ブート後のsendmailデーモンのスタート時に下記のワーニングが発生しているはずである。

    unable to qualify my own domain name (hostname) -- using short name

    ホスト名を/etc/nodenameファイルにFQDN形式で設定して解決する。FQDN(Fully Qualified Domain Name)形式とは、ホスト名+ドメイン名で設定したものだ。ホスト名は、先頭は英字で始まる英数字、特殊記号はハイフン(-)が使用可能、すなわちRFC 952に準拠させて、ドメイン内でユニークな名前を指定する。
    設定したホスト名をOracleは、リスナー・パラメータファイル(listener.ora)、ローカル・ネーミング・パラメータファイル(tnsnames.ora)などのネットワーク構成ファイルで使う。後で変更するのは容易でないので、ネーミングは短くてすぐに分かるものを練り上げたほうが良い。
    ここでは、prtdiagコマンドを使って、'System Configuration:'の行から機種を取り出し、viで/etc/nodenameを新規作成して保存した。

    # prtdiag|grep 'System Configuration:'
    System Configuration: NEC PC-VL3004D
    # vi /etc/nodename

    次の行を追加する

    PC-VL3004D.domain.com

    注Solaris 10 3/05 prtdiagはサポートしていないので、機種は取り出せない。

  11. ログホストを定義する


  12. ログ制御システム(syslog)は/var/log配下にログを吐き出す機能のみならず、ログを別のログサーバーに転送する機能を併せ持つが、ログサーバーが定義されていないため、下記のワーニングが発生しているはずである。

    syslogd: WARNING: loghost could not be resolved

    ワーニングを回避するため、/etc/hosts上でログホスト(loghost)にループバックアドレス(127.0.0.1)を割り付けて、自分自身をログサーバーとして定義する。なお、/etc/hostsはシンボリックリンクであり、実体はリンク先の/etc/inet/hostsある。

    次のタイプをして/etc/inet/hostファイルのオリジナルのコピーを取り、viで一行( 127.0.0.1 loghost)を追加して、「:wq!」で強制保存する。

    # cp -p /etc/inet/hosts /etc/inet/hosts.org
    # vi /etc/inet/hosts

    次の行を追加する

    127.0.0.1    loghost


  13. install X11 ISO8859-15 Codeset


  14. 下記パッケージがOracleのソフトウェア要件に挙げられているので、ないものはインストールする。
    「SUNWarc」、「SUNWbtool」、「SUNWhea」、「SUNWlibm」、「SUNWlibms」、「SUNWsprot」、「SUNWtoo」、「SUNWi1of」、「SUNWi1cs」、「SUNWi15cs」、「SUNWxwfnt」

    次のコマンドをタイプして、要件であるパッケージがインストールされているのか調べる。

    # pkginfo -i SUNWarc SUNWbtool SUNWhea SUNWlibm SUNWlibms SUNWsprot SUNWtoo SUNWi1of SUNWi1cs SUNWi15cs SUNWxwfnt

    「SUNWi1cs」、「SUNWi15cs」がインストールされていないはずなので、SolarisインストールDVDをドライブに挿入して、下記のようにインストールする。

    # cd /cdrom/cdrom0/Solaris_10/Product
    # pkgadd -d . SUNWi1cs

    <SUNWi1cs> のインストールを継続しますか [y,n,?] y

    # pkgadd -d . SUNWi15cs

    <SUNWi15cs> のインストールを継続しますか [y,n,?] y


    注Solaris 10 3/05 ディレクトリは下記のとおり異なる
    /cdrom/cdrom0/s2/Solaris_10/Product

  15. ユーザーグループを作成する


  16. ユーザーを作成する前に、次のユーザーグループを作成しておく。

    • Oracle インベントリ・グループ(oinstall)

    • Oracle インベントリとは、oraInventoryディレクトリにあり、システムにインストールされているOracle製品のカタログのことである。それを所有するグループ。
    • OSDBA グループ(dba)

    • このグループに含まれるユーザーはオペレーティング・システム、すなわちSolarisにおいてユーザーIDとパスワードで認証が確立すると。データベースの管理権限(SYSDBA およびSYSOPER 権限)が付与される。
      たとえば、このグループに属したユーザーからsqlplusを起動するときに「sqlplus / as sysdba(sysoper)」と指定すると、OracleのユーザーIDとパスワードは無くても接続が可能になる。

    次のコマンドをタイプして、ユーザーグループを作成する。

    #  groupadd oinstall
    #  groupadd dba


  17. oracleユーザーを作成する


  18. Oracleをインストールして、その後運用する権限を持つユーザーを作成する。
    次のとおり、oracleユーザーを作成する。(OS上のユーザー名は「oracle」とした)
    • ホームディレクトリをSolaris標準の位置に作成して、割り当てる。
    • プライマリグループを「oinstall」に割り当てる。
    • セカンダリグループは「dba」に割り当てる。
    • パスワードを設定する。

    #  mkdir /export/home
    #  useradd -g oinstall -G dba -d /export/home/oracle -m oracle
    #  passwd -r files oracle
    新しいパスワード:
    新しいパスワードを再入力してください:
    passwd: oracle のパスワードが変更されました

    「useradd」コマンドはオプションが多いので解説を要する。
    useraddは<オプション> <ユーザー名>の形式をとる。ここではオプションを下記のとおり使用した。
    -g:プライマリグループ名
    -G:セカンダリグループ名(スペースで区切り複数可)
    -d:ホームディレクトリの指定
    -m:ホームディレクトリを自動的に作成する

  19. ベース・ディレクトリを作成する


  20. Oracle ベース・ディレクトリ、すなわちOracle製品をインストールするトップレベル・ディレクトリをOptimal Flexible Architecture(OFA)ガイドラインに基づき作成して、オーナーをoracleユーザーに変え、書き込み、実行権限をユーザーとグループに与える。

    #  mkdir -p /opt/app/oracle
    #  chown -R oracle:oinstall /opt/app/oracle
    #  chmod -R 775 /opt/app/oracle

  21. oracleユーザーのプロファイルを編集する


  22. 次のとおり、oracle ユーザーの環境変数を編集してプロファイルに書き込む。ここで設定した環境変数の一部は、Oracleインストール時のデフォルト値になるので、それに従えばよいことになり、あらかじめ決めて置けば、間違いがない少ない。

    #  cd /export/home/oracle
    #  cp -p .profile .profile.org
    #  vi .profile
    次の行を追加する
    ORACLE_BASE=/opt/app/oracle; export ORACLE_BASE
    ORACLE_HOME=$ORACLE_BASE/product/10.2.0; export ORACLE_HOME
    ORACLE_SID=orcl; export ORACLE_SID
    NLS_LANG=Japanese_Japan.JA16EUC; export NLS_LANG
    ORA_NLS10=$ORACLE_HOME/nls/data; export ORA_NLS10
    LD_LIBRARY_PATH=$ORACLE_HOME/lib; export LD_LIBRARY_PATH
    PATH=/usr/bin:/usr/sbin:/usr/ccs/bin:/usr/sfw/bin:/usr/ucb:$ORACLE_HOME/bin:.; export PATH
    umask 022

    設定した環境変数とその内容を下表に示す。
    表  68
    環境変数 意味
    ORACLE_BASE Oracle ベース・ディレクトリパス
    • 前述のとおり
    ORACLE_HOME Oracle ホーム・ディレクトリパス
    • Oracle製品とそのリリース毎に作成する。
    • /product/10.2.0とはその配下にOracle 10.2.0がインストールされていることを示す。
    ORACLE_SID システム識別子SID(System IDentifer)

    • Oracleは同一データベース上に複数のインスタンスを作成することができる。
    • インスタンスを識別子するための8文字以内の一意名。ここでは従来から使われている「orcl」を使用した。
    NLS_LANG クライアント環境の言語 / 地域 / キャラクタセット

    • NLS_LANGの構文と構成要素の意味は下記のとおりになる。


    • NLS_LANG=language_territory.charset
      • language

      • Oracleデータベースのメッセージ、ソート順序および日と月の名前で使用される表記規則
      • territory

      • デフォルトの日付、通貨および数値の表記規則
      • charset

      • クライアント・アプリケーションが使用するキャラクタ・セット
    • Oracleはクライアントにデータを出力する時に、NLS_LANGで指定したキャラクタセットと、データベース内部で保持するデータのキャラクタセットが異なる場合は、NLS_LANGで指定したキャラクタセットにコード変換する。
    • すでにSolarisのキャラクタセットは「EUC」を指定した。NLS_LANGの値は「JA16EUC」、すなわちこれも「EUC」を指定してtelnetで表示する漢字コードを一致させておく。
    ORA_NLS10 言語とテリトリの定義ファイルが保存されているディレクトリパス
    • NLS_LANGで指定した言語データをロードするディレクトリを指定する。
    PATH サーチパス
    • $ORACLE_HOME/binにパスを通しておく、その他後々で一般的に必要になるbinにも通しておく。
    umask ユーザーマスク

    • ユーザーマスクを設定していない状態でファイル、ディレクトリを新規作成するとパーミッションは次のとおりになる。

    • ファイル 666(すべてのユーザーに読取り権と書込権限を付与)
      ディレクトリ 777(すべてのユーザーに読取権限、書込権限、実行権限を付与)
    • ユーザーマスクとは権限を否定(マスク)するものであり、上記に対してユーザーマスク「022」を掛けると、oracleユーザーグループ、他のユーザーの書込権限は否定される。すなわち下記のようになる。

    • ファイル 644(すべてのユーザーに読取り権を付与して、書込権限は所有ユーザーのみに付与)
      ディレクトリ 755(すべてのユーザーに読取権限、実行権限を付与して、書込権限は所有ユーザーのみに付与)

    「666」、「777」等の各桁の並びは次のとおりであり、
    [所有ユーザー][所有グループ][その他ユーザー]
    各桁の数値は下表の権限を加算したものになる。
    権限 記号表記 数値表記
    読取権限 r 4
    書込権限 w 2
    実行権限 x 1
    権限なし - 0


  23. カーネルパラメータの設定


  24. 下表のカーネルパラメータに推奨値を設定する。

    表  69
    noexec_user_stack バッファオーバーフロー攻撃から保護(=1)
    seminfo_semmni セマフォ識別子の最大数
    seminfo_semmns システムのセマフォの最大数
    seminfo_semmsl セットのセマフォの最大数
    seminfo_semvmx セマフォの最大数
    shminfo_shmmax 共有メモリセグメントの最大サイズ
    shminfo_shmmin 共有メモリセグメントの最小サイズ
    shminfo_shmmni 共有メモリ識別子の最大数
    shminfo_shmseg ユーザープロセス共有メモリセグメントの最大サイズ

    次のとおり、systemファイルに追加する。

    #  cd /etc
    #  cp -p system system.org
    #  vi system

    次の行を追加する。

    set noexec_user_stack=1
    set semsys:seminfo_semmni=100
    set semsys:seminfo_semmns=1024
    set semsys:seminfo_semmsl=256
    set semsys:seminfo_semvmx=32767
    set shmsys:shminfo_shmmax=4294967295
    set shmsys:shminfo_shmmin=1
    set shmsys:shminfo_shmmni=100
    set shmsys:shminfo_shmseg=10


  25. リブート


  26. initコマンドでリブートさせる。リブート後にカーネルパラメータの設定変更が有効になる。

    #  init 6

2009年9月28日月曜日

Solaris 10 5/09のダウンロード

  1. ここをクリックしてSun Microsystems, Inc. のダウンロードのページに飛び、「Solaris 10を今すぐダウンロードする」をクリックして次に進む。



  2. 「無料DVDダウンロード・フルイメージ」を選択して、「ダウンロード」をクリックして次に進む。



  3. 「Platform:」は「Solaris 10 OS, x64/x86」を選択、「I agree to the Solaris 10 5/09 Operating System Software License Agreement」にチェックを入れて、

    • すでにユーサー登録済みの場合は、「User Name:/Password:」を入れて「Log In and Continue」をクリックして次に進む。
    • 新規の場合は「Register Now」をクリックして登録に進む。



  4. 調査項目に答えて、「Submit and Continue」をクリックして次に進む。



  5. 「sol-10-u7-ga-x86-dvd.iso 」をクリックしてダウンロードを始める。(チェックサムをとる場合は「sol-10-u7-ga-md5sum-x86.txt 」もクリックしてダウンロードを始める。Microsoft製ファイル ファイル チェックサム整合性検証(FCIV)ユーティリティの説明とダウンロードはここ



第2回 Solaris 10 5/09のインストール

OSとしてSolarisはそれこそ幾通りの活かし方があり、また楽しみ方があるのだが、いくつかに絞り込まないと、本稿ではとてもカバーできるものではない。そこで下記の方針でインストールとその後の設定をすることとする。これらは、いわゆる標準的なものであり、本来の使用方法からは大きく外れていないはずだ。

  • ディスプレイとキーボード(中にはキーボードを繋げないとOSが立ち上がらないものもあるので要注意)を繋げずに、クライアントのWindowsマシンからネットワーク経由でのみ使う。クライアントからはオーソドックスにtelnet 、FTP、HTTP をIPv4プロトコルを経由して使用する。
  • マルチブートについては省略する。マルチブートにしてもマルチにOSが走るわけではない。Solaris専用マシンを組んでおいて、使いたいときに電源を入れるだけで、Solarisが立ち上がり、使用できるような使い方を想定する。
  • NFS サーバー、ネーミングサービス(DNS, NIS, NIS+, LDAP )、Keroberos(ケルベロス)等のサーバーは別途たてない、また自身もこれらのサーバーにはならないものとする。
  • このブロードバンドが普及した時代である、DHCPサーバー機能は終日電源ONで稼動しているブロードバンド・ルータに任せるのが合理的である。一度取得したIPアドレスを固定したい場合もルータの設定によって行う。
  • セキュリティーについては、ルータの機能を使用する。市販されているブロードバンド・ルータに標準的に提供されている、パケットフィルタリング、IPマスカレード機能によりファイアウォールを構築する。これで外部からの攻撃に対しては有効になるが、内部からはサーバーでブラウジングしない、メールを出さない等、外部に接続しないことにより対処する。つまりサーバーはLANの内側で使用する。
  • インストールDVDに含まれる製品のみをインストールする。
  • 日本語および日本国内を対象とする。

それでは、実際のインストール作業に入っていく。

以降Solaris 10 3/05については、Solaris 10 5/09よりも設定項目が少なくなっているので表示されない画面は無視して読み飛ばして欲しい、また多少の相違は適宜読み替えることとして、それが相違が著しい場合はそれを「注Solaris 10 3/05」として記述する。

  1. Solaris 10のダウンロード
  2. 頻繁に変更するので「Solaris 10 5/09のダウンロード」を参照されたい。

  3. ハードディスクの初期化
  4. ハードディスクは工場出荷品を新たに購入した場合を除き、初期化しておくことをお奨めする。ここでいう初期化とは出荷時の状態で何もパーティションが切られておらず、ブートレコードも入っていないのでディスクから起動できない状態を指す。これにはハードディスク・ドライブ・ベンダーが提供するツールに含まれる、ローレベルフォーマット(low-level format)を実行するのが簡易な方法である。実行後はパーティション情報、マスターブートレコードが含まれるドライブの冒頭を含めすべての削除する。さらに、ローレベルフォーマットで障害が発見されずに終了すれば、少なくともインストールの当初では、ハードディスクに故障が無い事を確認する事にもなる。

  5. BIOS(Basic Input/Output System)の設定
  6. PCの電源投入後ファンクションキー、Deleteキー、またはEscキーを押してBIOSセットアップ画面を表示して、CD ドライブからPCを起動できるように確認と設定をする。

    あとの設定で述べるように、インストール終了後に自動リブートを選択する。この際、CD-ROMの自動排出も選択しておくが、自動排出よりもBIOS起動が先にくるため、CD-ROMから、再度起動がかかり、インストールが再度実行されてしまう。したがって、実質的にはこのオプションは無効なのである。

    ただし、再びインストールが始まったとしても、言語選択の画面で選択待ちの状態で停止するので、そこで電源を切って、再起動をかければよいので、神経質になる必要はないのだが、BIOSの設定で対応できるならば、次の方法を取ったほうが良い。

    ハードディスクを初期化してから、インストールを開始した場合は、ハードディスクの起動順位をCD-ROMよりも前に設定して、インストール終了後CD-ROMからリブートしないようにする。(初回はHDDの起動順位を前に持ってきても、そこからはブートできないので、CD-ROMから起動がかかる。インストールを終了して再起動すると、今度はハードディスクにブートレコードが書かれているので、システムはそこから立ち上がる。)

    または、一部の機種ではBIOSセットアップ画面とは別のファンクションキーに、起動メニューが割り当てられているものがある、ここで一時的に起動順位を変えることが出来るので、一時的にはCD-ROMから起動、恒久的にはHDDから起動するようにして、インストール終了後にはCD-ROMに読み込みに行かなくなる。

  7. GNU GRUB loader
  8. SolarisインストールディスクをDVDドライブをセットしてマシンを再起動すると、BIOS はディスクからブートローダー、すなわちGRUB (GRand Unified Bootloader)を読み込みメモリにロードして、システムの制御をGRUBに移す。GRUBによってブートプロセスが開始され、画面が表示される。ここで「Solaris」を選択し、Enter キーを押す。

    ちなみに2,3行目のシリアルコンソールとは、ヘッドレス・サーバー(headless server:ディスプレイやキーボードなどへの接続デバイスを持たないため、入出力をシリアルポートで行う)への接続方式である。シリアルポート(ttya (COM1)、ttyb (COM2) )と端末をシリアルケーブルで接続する。端末側はターミナルエミュレータからキャラクターベースで操作する。

    Screen    GNU GRUB loader

    最大通信速度が115200bpsと遅いシリアルポートはレガシーデバイスとして扱われるようになり、最近のマシンではUSBに取って代わられ省略していることが多い。このためシリアルカード(があればの話だが)は逆に高い物になってしまう、使用することはあまりないと思うが、下記に通信条件を紹介する。

    PC双方をRS232Cのクロス(リーバース)ケーブルで接続して、ターミナルエミュレーター(Tera Termで可能、DOSならばkermitなど)ではポートを下記のとおり設定して接続する。

    ボーレート:9600bit/sec
    データ:8bit
    パリティ:none
    ストップ:1bit
    フロー制御:none

  9. インストーラの選択
  10. GRUBからminiroot(インストールのための必要最低限な環境)がメモリに展開され、kernel が起動して、インストーラは選択画面を表示す。

    ここではGUI(Graphical User Interface)またはCUI(Character-based User Interface)の対話形式かを選択する。

    GUIベースのインストーラではメモリ消費量が多い、このため消費の少ないCUIベースインストーラSolaris Interactive Text (Console session)」を選択するのが無難である、せっかくここまで進むことが出来ても、以降の処理でメモリが不足すると、徐々に実効速度が落ち、フリーズすることがある。また、キャラクタベースのインターフェースであればビデオカードとのマッチングも問題ないはずだ。日本語表示が無いのが残念だがそう何度も使うものでもない、ファンクションキーを押して軽快に進んでいくインターフェースも慣れれば使いやすい。「4」を押した後はネットワークカードの認識が始まる。

    Screen    Solaris Interactive Text

  11. Configure Keyboard Layout (キー配列の選択)
  12. Japanesを選択して[F2]を押す。

    Screen    Configure Keyboard Layout

  13. Select a Language(インストール時に使用する言語の選択)
  14. 「4」を選択して[Enter]を押す。

    インストールする言語ではなく、インストール時に使用する言語であることに注意。

    日本語を選択しても、CUI版のインストーラーでは日本語の画面が用意されていないので意味はないが。最後のリブート直前のメッセージは日本語なので文字化けする。このため一見すると英語を選択したほうがよいように思えるが、ここでの選択は後でのロケールの選択と連動していて、見過ごすとデフォルトのC ロケール (POSIX ロケール)を選択してしまうため、日本語を選択する。

    Screen    Select a Language

  15. The Solaris Installation Program(Solarisインストレーションプログラム)
  16. これから行うインストレーションに関するの説明文が表示される。画面の内容を確認後[F2]を押す。

    意訳 Solarisインストールプログラムは一連の短いセクションに分割されている、その所々ではインストレーション情報を問われるので入力していく。各セクションの最後に確認画面が表示されるので、次のセクションに進む前にそのセクションで行った選択を変更することができる。
    インストールナビゲーションでは
    -マウスを使用することは出来ない。
    -ファンクションキーがない、またはファンクションキーが反応しないキーボードは「ESC」を押して画面の下部に表示にされた代替キーを使用してナビゲーションする。

    Screen    The Solaris Installation Program

  17. Identify This System(システムの設定)
  18. システム設定の説明文が表示される。画面の内容を確認後[F2]を押す。

    意訳 次の画面からネットワーク、タイムゾーン、日時の設定を行う。
    ネットワークに繋がっている場合は(要するにインストーラを選択した後、ネットワークカードが認識されていれば)、インストーラはネットワーク構成に必須な入力情報を収集するので、それに対して答える。

    Screen    Identify This System

  19. Network Connectivity (ネットワーク接続)
  20. ネットワークに接続するので [F2]を押す。

    意訳 このSolaris CD がサポートするSolaris またはベンダーのネットワークカードを使用して、すでにシステムがネットワークにケーブルで接続している場合は、「Yes」を指定する。接続していない場合は、「No」を指定する。ネットワークカードのサポートの有無については、ハードウェアドキュメントの最新のサポートリストを参照のこと。

    Screen    Network Connectivity

  21. DHCP(Dynamic Host Configuration Protocolの指定)
  22. DHCPのクライアントになるので、「Yes」を選択して [F2]を押す。

    意訳 DHCP からIPアドレスを取得してネットワークインタフェースを構成するかどうかを指定する。構成(要するにIPアドレスの取得)をDHCP に任せる場合は「Yes」を、手動構成の場合は「No」を指定する。

    Screen    DHCP

  23. IPv6(次世代インターネットプロトコルの指定)
  24. IPv6は使用しないので、「No」を選択して [F2]を押す。

    意訳 IPv6 使用の有無を指定する。IPv6は次世代インターネットプロトコルである。 IPv6 サービスが提供されていない環境で、「Yes」を指定しても無効である。IPv6 を選択しても現行のIPv4 サービスには影響しない。

    Screen    IPv6

  25. Confirm Information(設定情報の確認)
  26. このセクションの総括である。画面の内容を確認して正しければ、[F2]キーを押す。変更する場合には、[F4] キーを押す。

    Screen    Confirm Information

  27. Configure Security Policy(セキュリティポリシーの設定)
  28. Keroberos(ケルベロス)は使用しないので、「No」を選択して [F2]を押す。

    意訳 セキュリティにKeroberos認証を使用する場合(Keroberosサーバーがあってそこで認証を済ませる場合)は、「Yes」を指定する。標準 UNIX セキュリティを使用する場合は、「No」を指定する。

    Screen    Configure Security Policy

  29. Confirm Information(設定情報の確認)
  30. このセクションの総括である。画面の内容を確認して正しければ、[F2]キーを押す。変更する場合には、[F4] キーを押す。

    Screen    Confirm Information

  31. Name Service (ネームサービス)
  32. ネームサービスは使用しないので、「None」を選択して、[F2]キーを押す。

    Screen    Name Service

  33. Confirm Information(設定情報の確認)
  34. このセクションの総括である。画面の内容を確認して正しければ、[F2]キーを押す。変更する場合には、[F4] キーを押す。

    Screen    Confirm Information

  35. NFSv4 Domain Name (Network File System version 4ドメイン名)
  36. NFSv4 の使用、未使用に関わらず [F2]キーを押す。NFSは使用しないのだが、ここでデフォルト(自動取得)以外を選択すると、さらにドメイン名の入力を要求される。

    注Solaris 10 3/05 これと同様のメッセージはインストールを完了してリブート後に表示されるので、「n」を押してEnterを押す。
    Do you need to override the system's default NFS varsion 4 domainname (yes/no) ? [no] : no

    意訳 NFS version 4 はネーミングサービスが動的に自動割当したドメイン名を使用する。
    ほとんどの設定は自動割当されたドメイン名で十分であるが、まれに、複数ドメインをまたぐ境界領域に張ったファイルは、共通ドメイン名が存在しないために、オーナーは"nobody"となる。
    NFSv4 ドメインの設定
    ---------------------------------------------------------
    [ X] ネーミングサービスから取得したNFSv4ドメインを使用する
    [  ] 別にNFSv4 ドメインを指定する

    Screen    NFSv4 Domain Name

  37. Confirm Information(設定情報の確認)
  38. このセクションの総括である。画面の内容を確認して正しければ、[F2]キーを押す。変更する場合には、[F4] キーを押す。

    Screen    Confirm Information

  39. Time Zone (時間帯)
  40. Asiaを選択して、次の画面でJapanを選択して [F2]キーを押す。

    意訳 この画面でデフォルトの時間帯を指定する。時間帯は三通りの指定ができる。画面リストから、大陸、海洋を選択するか、グリニッジ標準時間からの時間差の指定、または時間帯ファイルを選択する。(GUI版では文言どおりに三通りの指定ができるが、ここで行っているCUI版では1の方法の指定しかできない。)

    Screen    Country or Region

    Screen    Date and Time

    デフォルト(BIOSの)の日付と時間が表示される、それをそのまま使用するか、値を変更して、[F2]キーを押す。

    Screen    Time Zone

  41. Confirm Information(設定情報の確認)
  42. このセクションの総括である。画面の内容を確認して正しければ、[F2]キーを押す。変更する場合には、[F4] キーを押す。

    Screen    Confirm Information

  43. Root Password(Rootパスワードの設定)
  44. 上下の欄に同じパスワードを入れて[F2]キーを押す。

    意訳 アルファニューメリックまたは特殊文字を使用してRootのパスワードを入力する。セキュリティ上入力したパスワードは画面に表示されない。
    Rootにパスワードを設定しないときには両欄をブランクのまま、次に進む。

    Screen    Root Password

  45. Identify This System(システムの設定)
  46. インストーラのシーケンスの間違いなのか、ここでは関係ないシステム設定の説明文が再度表示される。画面の内容を確認後[F2]を押す。

    Screen    Identify This System

  47. Enabling remote service(リモートサービスの有効化)
  48. 「No」を選ぶと、O/Sインストール後の作業で使用するネットワークサービス(ftp/telnet)が使用できないのでデフォルト(「Yes」)のまま、[F2]キーを押す。

    意訳 ネットワークサービス(telnet, ftp, rloginなど)をリモートクライアントに公開しますか?

    「No」を選ぶと、リモートクライアントはssh (Secure SHell)のみの接続しか出来ないため、よりセキュアな環境となる(sshポートのみを開けておく設定になる)。
    「Yes」を指定すると従前のリリースと同様に広範なネットワークサービスが有効となる。
    迷っているならば、「No」の選択が安全である、ここで無効にしておいてもインストール後の設定で個々のネットワークサービスは有効に変更できる。
    注:ここでの選択は、イニシャルインストールの場合は有効だが、アップグレードインストールでは無効である。

    Screen    Enabling remote service

  49. sysidtool (前半の設定は終了)
  50. これで前半の設定は終了してsysidtoolが動き出す。

    Screen    sysidtool

  51. Solaris interactive instruction(Solaris対話式インストレーション)
  52.  [F2]を押して"スタンダード"インストールを始める。

    意訳 以降の画面では、インストールをデフォルトのとおりに行うことも、下記の選択、指定によってカスタマイズすることも出来る。
    • インストールするソフトウェアのタイプを選択する
    • 選択したソフトウェアをインストールするディスクを選択する
    • Solarisと一緒にインストールするアンバンドル製品を選択する
    • ディスク上にファイルシステムを配置する方法を指定する

    これらの作業を完了すると、選択の要約 (プロファイルと呼ばれる)が表示される。

    Solaris ソフトウェアをインストールする方式は二通りある:

    • "スタンダード" はSolaris ディストリビューション(DVD 等のメディア)からシステムをインストールする方式である。この場合はイニシャル、またはアップグレード可能なシステムの上にインストールする場合は、アップグレードを選択できる。
    • "フラッシュ"は1つかそれ以上のフラッシュアーカイブからシステムをインストールする方式である。

    Screen    Solaris interactive instruction

  53. Eject a CD/DVD Automatically ? ( CD/DVDの自動排出)
  54.  [F2]を押す。ここで言う自動/手動排出とはリブート後の動作となる。リブートすると、このような動作の前にまずBIOSがCD/DVDを読み込みそれがブータブルである場合は、そこから起動してインストールが再度始まる。このため自動排出を選択しても無効である。
    排出したい場合には注にあるように、リブートしたときを見計らって手動排出する。

    意訳 ソフトウェアのインストールは1 枚または数枚のCD/DVDメディアを使用するはずである。インストールしている最中のメディアがブータブルでない場合は、インストールが終了して、リブートしたときに自動排出するか、手動排出するのかを選ぶことが出来る。
    注:現在 CD/DVDメディアからブートしてインストール続行中ならば、リブートしたときに手動排出する必要がある。

    [X] CD/DVD 自動排出
    [ ] CD/DVD 手動排出

    Screen    Eject a CD/DVD Automatically

  55. Reboot After Installation?(インストール後のリブート)
  56. デフォルト(「自動」)のまま、[F2]キーを押す。諸設定を終えた後、インストールが始まってから、リブートするまでの間かなりの時間がかかる、この間端末の前で待機する必要はなく、放置しておけば自動リブートして、インストールが再度始まってSelect Languageの画面で止まる。ここでメディアを取り出し、電源スイッチを切って、入れなおしたほうが、手動を選択してrebootコマンドを入れ忘れるよりも安全な方法だといえる。手動の場合はrebootコマンドを入れないとインストールは完結しない。

    意訳 Solarisソフトウェアのインストールが完了した後は、システムをリブートしなければならない。リブートは自動的にリブート (Auto Reboot) することも、リブートする前にスクリプトを実行したり、他のカスタマイズを行なった後で手動でリブート (Manual Reboot) することもできる。手動でシステムをリブートする場合は、rebootコマンドを使用する。
    [X] Auto Reboot
    [ ] Manual Reboot

    Screen    Reboot After Installation

  57. Information(通知)
  58. 画面の内容を確認後[F2]を押す。

    意訳 リブート後に再度インストールを繰り返さないため、手動でメディアを排出するか、リブート後にCD/DVD以外のブートデバイスを指定する必要がある。

    Screen    Information

  59. License(ソフトウェア・ライセンス契約書)
  60. 画面の内容をよく読んで[F2]を押す。

    ソフトウェア・ライセンス契約書(日本語版) Sun Microsystems, Inc.(「Sun」)
    ソフトウェア・ライセンス契約書

    このソフトウェア製品のパッケージを開封する前に、この契約書 (以下「本契約」といいます) をよくお読みください。ソフトウェア製品のパッケージを開封すると、本契約の条項を同意したものとみなされます。電子的な手段でこのソフトウェアにアクセスしている場合は、本契約の末尾にある「同意する」ボタン (または、同等の意味をもつボタン) を選択して同意してください。これらの条項に同意できない場合は、未使用のソフトウェアを購入店にただちに返却し、代金の払い戻しを受けてください。電子的な手段でソフトウェアにアクセスしている場合は、本契約の末尾の「同意しない」ボタン (または、同等の意味をもつボタン) を選択してください。このソフトウェアのライセンスについて、別個のライセンス条項 (以下「基本条項」といいます) に同意している場合は、本契約の第 1 条から第 6 条 (以下「補足ライセンス条項」といいます) が、このソフトウェアに関する基本条項を補足し、これに優先します。

    Screen    License

  61. Select Geographic Regions(地域による言語の選択)
  62. デフォルト(「Asia」)のまま、[F2]キーを押す。

    Screen    Select Geographic Regions

  63. Select System Locale(システムのロケール選択)
  64. デフォルト([Japanese EUC (ja)] ( ja )))のまま [F2]を押す。リブート後にシステムのデフォルトとなるロケールを設定する。後でインストールするOracleもEUCにあわせておけばtelnetの画面で漢字コードを切り替える必要がない。

    Screen    Select System Locale

  65. Additional Products(追加製品)
  66. デフォルト([None])のまま [F2]を押す。製品は追加しない。

    意訳 追加製品を検索する場所を指定する。指定した場所から検索が始まる。見つかった製品はSolaris Web Start でインストールできるように製品リストに追加される。

    Solaris Web Startを検索する場所:

    [X] None
    [ ] CD/DVD
    [ ] ネットワークファイルシステム

    Screen    Additional Products

  67. Choose Filesystem Type(ファイルシステムの選択)
  68. デフォルト([UFS])のまま [F2]を押す。

    Screen    Choose Filesystem Type

  69. Select Software(ソフトウェアの選択)
  70. デフォルトからOEM サポートに変更して[F2]を押す。

    後になって足りないソフトウェアの依存関係を調べてインストールするよりも、ここでフルインストールしたほうが問題は少ない、ディスク容量を節約したとしても差はわずかなものである。OEMとはSunのデバイスを純正(SunにはSPARCプロセッサだけではなく、x86アーキテクチャの製品のラインナップもある)として、それ以外のサードパーティ製のデバイスのことを指す、ここで言うOEMサポートとは、インストール時に検出されたハードウェアのドライバ以外のライブラリも含みインストールする意味である。

    意訳 システムにインストールする Solaris を選択する。
    注: ソフトウェアグループを選択したあとでも、ソフトウェアを追加または削除してカスタマイズできる。ただし、カスタマイズするにはソフトウェアの依存性と、Solarisソフトウェアがどのようにパッケージされているのかを理解していることが要求される。
    [X] 全体ディストリビューションと OEM サポート・・・5938.00 MB
    [ ] 全体ディストリビューションサポート・・・・・・ 5938.00 MB
    [ ] 開発者システムサポート・・・・・・・・・・・・5793.00 MB
    [ ] エンドユーザーシステムサポート・・・・・・・・4786.00 MB
    [ ] コアシステムサポート・・・・・・・・・・・・・1074.00 MB
    [ ] ネットワーキングを省いたコアシステムサポート・1029.00 MB

    Screen    Select Software

  71. Select Disks(ディスクの選択)
  72. 画面の内容を確認後[F4]を押す。初期化してあるディスクではディスク全体がSolarisパーティションになっている。初期化されていない場合は、パーティションを切るために[F4] を押して編集に進む。初期化してある場合でも、確実にパーティションが切られていることを確認する意味で同様に編集に進む。画面文言はディスク小容量時代の名残りのようなもので、複数の小容量のディスクに必要容量を分割してを確保する方法を表している。

    注Solaris 10 3/05 同じ条件であっても、ディスクは選択されていない状態になっていて、「Available Space」は0MBと表示されている。ここで、ディスクを選択すると、「No Solaris fdisk Partition」画面に移り、Solaris パーティションがない旨の警告が出るので[F2] を押して継続する。次に「Create Solaris fdisk Partition」画面になるので「[ ] Use entire disk for Solaris partition」を選択して、ディスク全体を使用して Solaris パーティションを配置させ[F2] を押す。

    意訳 ディスクの選択
    この画面上では、Solaris ソフトウェアをインストールするディスクを選択する。
    まず「Suggested Minimum」フィールドの値を確認する;この値は、選択したソフトウェアをインストールするために必要最低限な容量の概算値である。「Total Selected value」フィールドの値が「Suggested Minimum」フィールドの値を超え容量を確保できるまで、ディスクの選択を続ける。

    注: ** は現在のブートディスクを示す

    Screen    Select Disks

  73. Disk Editing Options(ディスクの編集オプション)
  74. デフォルトのとおり「Edit Fdisk partitions」)を選択して、 [F2]を押す。

    Screen  Disk Editing Options

  75. Customize fdisk Partitions for Disk(fdiskパーティションのカスタマイズ)
  76. 必要ならばパーティションの作成と削除を行い、ディスク全体をSolarisパーティション(SOLARIS)にして、 [F2]を押す。

    意訳 この画面では、前画面で選択したディスクに fdisk パーティションの作成と削除ができる。すでに切られているfdisk パーティションのサイズ、タイプ、位置を変更する場合は、まずそのパーティションを削除して、空いた領域に再作成する。
    注:Solaris ソフトウェアのインストールに使用するディスクには、  Solaris fdisk パーティションを作成しなければならない。

    Screen    Customize fdisk Partitions for Disk

  77. Select Disks(ディスクの選択)
  78. 元の画面に戻るので、内容を確認後[F2]を押す。

    Screen    Select Disks

  79. Automatically Layout File Systems(ファイルシステムの自動配置)
  80. ファイルシステムを一度自動配置したものを、カスタマイズするので[F2]を押す。

    意訳 auto-layout(自動配置機能)を使用してファイルシステムを自動配置させますか?
    手動でファイルシステムを配置する場合は、高度なシステム管理のスキルが要求される。

    Screen    Automatically Layout File Systems

  81. Automatically Layout File Systems(ファイルシステムの自動配置)
  82. 画面の内容を確認後[F2]を押す。

    意訳 この画面では、自動配置によって領域を割り当てたいファイルシステムを追加するか、またはデフォルトが示す、ファイルシステムを割り当てるのかを選択する。
    注: 少容量のディスクで自動配置機能を使うと、有効なディスク領域に細分化しながらファイルシステムの必要な容量を確保していくことがあることに考慮されたい。そのため、自動配置が完了した後、下記のリストで選択していないファイルシステムが配置されることがある。

    Screen    Automatically Layout File Systems

  83. File System and Disk Layout(ファイルシステムとディスクの配置)
  84. 画面の内容を確認後[F4]を押して、カスタマイズに進む。

    意訳 これまで入力した情報に基づいた、ファイルシステムとディスクの配置を、下記に要約する。
    注: 「カスタマイズ」を選ぶならば、各ファイルシステム、それらの使用目的、またそれらを変更したときにシステム動作に及ぼす影響を理解する必要がある。

    Screen    File System and Disk Layout

  85. Customize Disk(ディスクのカスタマイズ)
  86. 下記の手順でディスク領域のすべてを「/(ルート)」と「swap」に割り当てた後、 [F2]を押す。

    1. 「Size(MB) 」の欄を「overlap」を除いてすべて0にする。
    2. 「Mount Point」の「/export/home」の欄ををスペースキーを押して消す。
    3. 「Size(MB) 」の「swap」欄に値を入れる(メモリ容量の倍数が推奨)。「Rounding Error」が表示されることがあるが、これはスライスがシリンダ単位で配置されるからである、徐々に数値を増やしていくと、エラー表示はなくなる。シリンダイメージの表示、編集は「F4」キーのオプションで行うことができる。
    4. 最下欄にある「Free:」の値を「Mount Point」が「/(ルート)」「Size(MB) 」の欄に入れる。

    Screen    Customize Disk

    Screen    Customize Disk

    パーティションとスライスは同義である。

    個人が1台のハードディスクを使うときにスライスを分けるメリットはない。スライスを分ける理由は、あるスライスが壊れたときに、そのスライスだけを復旧すればよい、またはあるスライスがオーバーフローしたときに、そのスライスの不要ファイルを削ればよいのなどの理由があるが、いずれにしても論拠が薄い、スライスが壊れるというよりも、ハードウェア障害でディスク全体が壊れる可能性が高いことだし、スライスのサイズを限定したためにオーバーフローが起こしやすくなったと考えられる。

    むしろスライスを分けた結果、ハードディスクが細分化されて、まとまった領域が取れないデメリットの方が大きい。本稿ではバックアップのためのメディアを作成するために領域を必要とするので、swapを割り当てた後の残りを全て/(ルート)に割り当てる。

    なお、システム構築後使っていくうちに、スライスを分けたい要求が生じた場合には、後述するFlashでバックアップアーカイブを取り、スライスを切り直してからそれを戻せば、スライスの再割付は可能である。

    将来どのぐらい領域を使用するのかは正確には分からないものを、分けるから無駄が生じるのである。

  87. File System and Disk Layout(ファイルシステムとディスクの配置)
  88. 画面の内容を確認後[F2]を押す。

    Screen    File System and Disk Layout

  89. Mount Remote File Systems?(リモートファイルシステムのマウント)
  90. NFSマウントしないので[F2]を押す。

    意訳 リモートファイルサーバーからソフトウェアをマウントしますか?
    ディスク容量不足のためにソフトウェアを削除しなければならない場合は必要がある。

    Screen    Mount Remote File Systems

  91. Profile(プロファイル)
  92. 画面の内容を確認後[F2]を押してインストールを始める。

    意訳 下記に示す情報は、Solaris をインストールのためのプロファイルである。ここまでの画面で選択してきた内容が反映されている

    Screen    Profile

  93. ファイルシステムの作成
  94. プロファイルに設定した情報に従いディスクを割り当て、ファイルシステムの作成が始まる。

    Screen    Creating and checking file systems

  95. Solaris Initial Install
  96. メディアからインストールが始まる、インジケータが示すように100%になるまで待つ。

    Screen    Solaris Initial Install

  97. リブートの直前
  98. 日本語の部分が文字化けするので、数箇所表示が崩れる。

    英語表記では下記のとおりになる。(サマリー画面では、30秒、リブート画面で90秒ポーズする。そのままポーズするなら「p」、続行するならば「c」を押す)したがって所定時間放置しても問題ないが、急いでいるときには、「c」、「c」と押して進めばよい。

    Launching installer. Please Wait...

    Installing Additional Software
    |-1%--------------25%-----------------50%-----------------75%--------------100%|

      Pausing for 30 seconds at the "Summary" screen. The wizard will continue to
      the next step Unless you select "Pause". Enter 'p' to pause. Enter 'c' to
      continue. [c]

      Pausing for 90 seconds at the "Reboot" screen. The wizard will continue to
      the next step unless you select "Pause". Enter 'p' to pause. Enter 'c' to
      continue. [c]

    Screen    Reboot

  99. リブート後のGRUB画面
  100. GRUB画面が表示されたらデフォルトのまま [Enter]を押してSolarisを起動する。ここでも60秒間放置しておいても問題ない。

    Screen    GRUB

  101. サービス管理機能(Service Management Facitity:SMF)
  102. Solarisを起動すると、サービス管理機能(Service Management Facitity:SMF)SMF の初期化(初回のみ)が始まる。それが終わるとコンソールログインを促すプロンプトが表示されるので、放置する。

    Screen    Service Management Facitity

    Screen    console login

  103. ログイン画面
  104. GUIログイン画面がでてきたら、rootとパスワードを入れる。

    Screen    login

  105. Java Desktop System(JDS)
  106. Java Desktop System(JDS)を選択する。

    Screen    Java Desktop System

  107. 登録ウィザード
  108. 登録ウィザードが表示されるので、ここで登録する場合は進める、ただし本稿の記述内容と異なってくる可能性もあるのでアップデートには進まない。

    Screen    Solaris Registration Wizard

  109. loginファイルの編集
  110. デスクトップ上で右クリックをしてメニューから、または左下の「起動」ボタンを押して、そこから「アプリケーション」→「ユーティリティ」→「端末エミュレータ」を選択して端末エミュレータを開いて下記の編集操作をする。

    Loginファイルのオリジナルのコピーを取り(以降必須ではないが、編集前のファイルのバックアップは取っておく。編集に失敗した場合それから戻せばよい。本稿では以降その拡張子を「org」とする。)、viでファイルを開く。

    # cd /etc/default
    # cp -p login login.org
    # vi login

    下記の行まで移動して、編集前の状態ではrootユーザーはコンソールのみログインが可能.になっているので、コメントアウトして、(telnet)からもログインできるように変更する。

    CONSOLE=/dev/console
       ↓
    #CONSOLE=/dev/console

    変更が終わったら、このファイルは書き込み権限が無いため、「:wq!」で強制書き込みをして終了する。

    Screen    edit login file

    Screen    edit login file

    デスクトップ画面が起動しない場合は下記の操作を行う。
    リブート後、デスクトップの起動に失敗した場合は下記の状態で止まっている。

    *******************************************************
    * The X-server can not be started on display :0...
    *******************************************************

    ここで「Enter」を押すと次のプロンプトが出てくるので、「root」と入れ、続けてrootのパスワードを入力してrootでログインする。なぜ「unknown」なのかと、なぜ随所にワーニングが出ているのか?これについては次回で行う設定で解決する。

    unknown console login: root
    Password: ...

    なお、デスクトップ画面が立ち上がったとしても、システムに負荷を抑えるため、コンソール画面でのまま留めて置く場合には、次のようにdtconfigコマンドをタイプして、デスクトップ画面の自動起動を無効(disable)にすると、次の起動からはコンソール画面で留まり、デスクトップ画面は起動しない。特に搭載メモリの少ないマシンではこの設定を推奨する。

    # /usr/dt/bin/dtconfig -d

    その逆は、デスクトップ画面の自動起動を有効(enable)にする。

    # /usr/dt/bin/dtconfig -e

    わずかな間の操作なので、日本語部分が文字化けする事を了解の上行うのならば省略してよいのだが、例えば次のようにviでloginをセーブするときのメッセージが「行」と「バイト」の部分で文字化けをする。

    "login" 77 行、2259 バイト

    次のタイプをして(「|」が不可の場合はenvのみ)言語を調べると、環境変数は日本語になっている。日本語のキャラクタジェネレーターを持たないハードウェアでは、日本語をテキストモード表示することは出来ないのだ。

    # env|grep LANG
    LANG=ja

    文字化けするよりも、英語表示の方が好ましい場合は次のように環境変数を変えて、エクスポートする。

    # LANG=C; export LANG

    (起動のたびごとに設定すのが面倒ならば、/etc/default/initのLANG=jaの行をコメントアウトする。「C」とはC ロケール(POSIX ロケール)の意味であり、無指定ではこれが適用される)

    ほとんどの読者は日本語106キーボード、109キーボードを使用しているはずである。インストールで日本語キーボードに設定した場合は、0(ゼロ)の.3つ右隣、Lの.3つ右隣、Mの4つ右隣にあるキーは無効になることがある、中でも「|」、「\(\)」、「_」の3字についてはコマンド入力際に頻度が高いので、今後コンソール画面を頻繁に使用する場合は、使用ができないよりは下記コマンドをタイプして再起動をかけて英語キーボードにして、英語キーボードレイアウトを参照して入力したほうが良いだろう。

    英語キーボードとして使用する

    # eeprom keyboard-layout='US-English'

    日本語キーボードとして使用する

    # eeprom keyboard-layout='Japanese'

    注Solaris 10 3/05

    下記のように指定方法が異なる

    # eeprom kbd-type='US-English'

    # eeprom kbd-type='Japanese(106)'

    下図に日本語キーボードと英語キーボードの配列を示す。ここでは英語キーボードのレイアウトが適応される、特殊記号の配置に注意されたい。

    日本語キーボードレイアウト
    図 Japanese(106)

    英語キーボードレイアウト
    図 US-English

  111. ネットワークインターフェイス状況の確認
  112. ネットワークインターフェイスの状況を確認してDHCPサーバーが割り当てた、以降の作業でクライアントからアクセスするIPアドレスを控えておく、これはifconfigコマンドに -a オプション、またはネットワークインターフェース名を指定して実行する。

    DHCPサーバーが、MACアドレスに対応したIPアドレスの静的割り当て、または割り振ったIPアドレスのリース時間を無制限にする等の機能を持っていれば、一度割り振られたIPアドレスを固定して使うことができる。

    Screen    ifconfig

    なお、DHCPサーバーから取得したアドレスの解放、再取得は下記のコマンドを使用する。

    IP アドレスの解放
    ifconfig interface dhcp release
    IP アドレスの取得
    ifconfig interface dhcp start

  113. システムの起動と停止
  114. ここまでのインストールが正常に済んでいれば、システムの起動については特に問題はない、電源ボタンを押せばブートアップする。

    UNIX全般に言えることだが、動いている間こそ堅牢であるが、停止は正常な手順を踏んで行わないと、ファイルシステムが簡単に壊れる。下記のシステムシャットダウン時のメッセージの抜粋を見ていただきたい。これが示すとおり、システムを安全に停止させるためには、それまでに動いていたサービスを停止して、バッファキャッシュをフラッシュして、ファイルの同期(sync)を取ることが最低限必要になる。

    svc.startd: nnn system services are now being stopped.
    syncing file systems... done

    システムを手順どおり安全に停止させるのは、ランレベルをある状態に遷移させることに他ならない。ランレベルを操作するコマンドは数種用意されているので、それらを使用してシステムを停止する。

    ランレベルを下表にまとめた。通常マシンを起動して、すべてのブートプロセスが済んだ後はランレベル「3」でシステムは走っている。それよりも低いランレベルは、保守や緊急の事態への対処に使われる。例えばバックアップを取る前には、マスターコンソール以外のユーザーがバックアップの対象となるファイルの内容が変更したり、移動/削除をさせないためシングルユーザーモードに移行させる。なお、「s」or「S」、「1」、「2」、「3」間のランレベルの遷移はブートを伴わないので、一見してどのランレベルが移行したのか分からないが、コマンド「who –r」によって現在のランレベルを確認することが出来る。 システム停止に関係するランレベルは、「0」、「5」、「6」である。

    「0」は電源オフが可能な状態までシステムを移行させる。コンソールには「Press any key to reboot」とプロンプトされ、電源ボタンを押して電源を切る。その前にキーボードのどれかのキーを押した場合、システムはウォームブート(warm boot)する。

    「5」はBIOSの電源管理機能が適合していれば、コマンドによって電源は切られるが、不適合の場合は「0」と同じ動作になる。また同機能が適合していれば、電源ボタンによって、ランレベルは「5」に移行して安全にシステムを停止できる。 ランレベル「6」はプロンプトを待つことなくウォームブート(warm boot)する、つまりランレベル「0」でプロンプトの後何かのキーを押したのと同等の動作をする。

    表 run level

    ランレベル 状態
    0 電源オフ可能状態
    s or S シングルユーザー・モード。rootファイルシステムのみリードオンリーアクセスでマウント。
    1 シングルユーザーモード。すべてのローカルファイルシステムをリード/ライトアクセスでマウント。
    2 マルチユーザーモード。NFSサーバー、その他のネットワークサービスを除くサービスを開始
    3 マルチユーザーモード。すべてのサービスを開始
    4 予備。ユーザー定義
    5 電源オフ
    6 再起動

    run level を変更できるコマンドは下表のとおりである。

    表 run level command

    コマンド 処理
    init 引数に run level を指定する。
    telinit 引数に run level を指定する。initにリンクが張られている、互換性のためにあるコマンドである。
    shutdown initを起動するシェルスクリプトで下記のオプションが加わる。
    • -i : run level(0, 1, 5, 6, s, Sが有効であり、デフォルトは"s")
    • -g : shutdownを開始するまでの秒数、デフォルトは30秒
    • -y : shutdownするかどうかの確認の有無("s"で無し)
    したがって「shutdown -i5 -g0 -y」とinit 5は同じである。
    reboot init 6に同じ
    poweroff init 5に同じ
    halt init 0に同じ

    halt、reboot、poweroffはハードリンクであり、同じバイナリーコードに違う名前を付けたものである、どの名前で起動されたかによって、内部ではそれぞれの処理を行う。ただしinitで行う、/etc/inittab の参照、/etc/rc0 スクリプトの実行が省かれている。このため、通常は用いずにこれらの原因により、initが実行できない場合の最後の手段として使用する。

    以上から通常の運用で使用するならば、パワーオフは” init 5”、リブートは init 6”と覚えておけば十分であろう。